古来、人々は、自然を受け入れ、崇拝し、時にはうまく活用することで生活を豊かにしてきました。「寒の水にさらす」ことは、木を扱ってきた人々の長年の経験から生まれた知恵だと思います。木材にとって、梅雨や夏の雨は大敵で、濡らさぬ様に最も気を使うのが、この季節です。
寒の水にさらす反対に寒の時分(1月〜2月)の雪や雨に濡らすことを「寒の水にさらす」と言い、木材にとっては大変有益なことなのです。虫が付きにくく、腐れにくく、長く保つようになります。私が雨を気にしないで居れるのはこの時期だけです。
また、土壁の竹小舞を編む小縄も寒の水にさらした物は、何百年も虫が付かずに保っています。「寒干し」、「寒げいこ」、「寒中水泳」、「寒中見舞」。寒の季節ならではのものがある様です。
私は子供の頃、正月に雪が降ってないと正月のような気がしませんでした。雪だるまやかまくらを作り、夜にローソクの明かりを持ち込んだり、軒下にはつららが下がり、竹ぞりで遊んだ楽しい記憶があります。(高校時代の「寒げいこ」は、汗で凍った道衣を着て、冷たいビニール畳の上でのつらいものでしたが、今ではとても懐かしい思い出です。)
 年末、会社の後の落葉樹に沢山、葉っぱが残っていました。寒は寒らしくあって欲しいと願うばかりです。
次へ
戻る
「木の語り部通信」についての感想をお聞かせ下さい。
感想はこちらから。
 表紙 > 木の語り部通信 > 第四回
第四回 寒の水にさらす